今回は住まいのDIYセルフリフォームとして巾木・廻縁を白くする時の注意点をまとめていきたいと思います。実際に私の家も巾木と廻縁を白くしたところなのでこの知識が共有できたらと思い記させていただきます。
白くする方法は3種類
床の色だけでなくモールディング(飾り部分)の色も家の印象を決める重要な要素になります。
巾木・廻縁を白にすると壁や天井の色との一体感が出て部屋が明るくなって、たったそれだけのことなのに部屋がシンプルでスッキリした印象に変わります。
巾木・廻り縁を白くして明るい部屋にする方法は以下の3通りです。
方法① 白い巾木に交換する
古い巾木を捨てて新品の白い巾木に交換する、これが一番素直で手っ取り早い方法です。でも部材購入の費用が非常に高くなりますね。今回はこの方法ではなく以下の2つの方法についての説明になります。
方法② ペンキで白く塗る
巾木の周りを養生してからペンキで一気に白く塗る方法で、昔からある選択肢です。養生さえしっかりしてしまえば後は慎重な作業がないのがいいところです。
方法③ 白いマスキングテープを貼る
巾木に白いマスキングテープを貼る方法で比較的新しい手法です。マスキングテープは100均のものではなく、もう少し幅があって厚みもしっかりした透けにくい素材のものを使います。
ペンキで塗るメリット
まずはペンキを塗る方法から見ていきます。
広範囲を変更する時に便利
ペンキは広範囲を一気に変えたい時に便利な方法です。巾木だけでなく、壁も一緒に塗る時やドアの色も変更する時など、他の箇所も塗って一気に作業を進めたい時に活躍します。
水や汚れに強い
一度ペンキが乾いてしまえば耐水性がつくのでキッチンなどの水回りでも安心です。水を弾くのである程度の汚れは弾きますし濡れティッシュなどで拭くこともできます。
疲れにくい
神経質になる必要のある作業があまりないため疲れにくいのがメリットです。養生のためにマスキングテープを真っ直ぐ貼るのが神経を使いますけど、後で説明する白マスキングテープ方式よりも気軽なのは間違いないです。
ペンキで塗るデメリット
事前にデメリットを知ることは計画を立てる時に非常に大切ですね。
賃貸では使用不可
原状回復して返す必要がある賃貸物件ではペンキで塗ることはできませんね。購入物件のみで使える方法となります。
塗りたくない所の養生処理が必要
ペンキを塗る前にはペンキがついて欲しくない所にテープを貼る養生処理が必要です。
新聞紙を敷く必要もありますし、塗る前の準備がとにかく重要で、この作業が全体の半分を占めると言ってもいいほど時間がかかって大変です。
表面の加工が必要
巾木の種類にもよりますが、表面が塩化ビニール素材の場合はツルツルしていてペンキの乗りが悪くなります。その場合は先に表面をヤスリがけしてプライマーを塗る必要があって大変です。
重ね塗りで時間がかかる
1回の塗りで満足な仕上がりにならない場合は重ね塗りをすることになるのですが、二度塗りの前に一度塗ったペンキを乾かすために時間を置く必要があって完成までに数日かかることもあります。
テープを剥がす時のペンキの剥がれに要注意
ペンキが綺麗に仕上がって「さあ養生のテープを剥がして完成」という時に、テープにつられてペンキも一緒にペリペリ剥がれてしまうことがあるので気をつける必要があります。
後片付けが大変
片付ける時のゴミの量が多いのが地味にデメリットです。塗った後の刷毛を水洗いする必要もありますしペンキが残ってしまった時の処分にも困るかもしれません。
ペンキのニオイが気になる
ペンキには油性塗料と水性塗料の2種類が大きく分けてあるのですが、どちらにしても換気が必須でニオイがキツイです。
油性塗料に関しては頭が痛くなるほどのニオイなので途中で休憩も必要になります。ニオイの少ない水性塗料であっても塗ってから数日~1週間くらいはニオイが気になるかもしれませんし、油性塗料なら1ヶ月~数ヶ月を要します。
生活中の部屋だと非常に困る
意外と見落としがちなのがここで、巾木をペンキで塗っている間はその部屋での生活ができないことになります。ここ超重要です。
リビングの巾木を塗ることを想像してみてください。家具や家電を壁から離して邪魔にならないようにする必要がありますし、重ね塗りも含めて乾くまでの間の1~2日は養生もそのままです。トドメにニオイもキツイときます。これは非常に大問題ですね。
マスキングテープのメリット
次にマスキングテープ式の方法を見ていこうと思います。
賃貸でも使用可能
マスキングテープを貼る最大のメリットは賃貸物件でもOKということ。繰り返し貼り剥がしができるマスキングテープなので退去時に原状回復する時はビーっと剥がすだけです。
賃貸物件って制約が多くてDIY好きにはモヤモヤするところですけど、これなら自分好みに模様替えできるので嬉しいですね。
作業の中断がしやすい
ペンキで塗る作業に対してマスキングテープの場合は作業がサッと済むのがメリット。
ペンキの場合は一気に作業を進める必要があって「部屋丸ごとを半日~1日がかりで」とかになりがちですが、マスキングテープなら「今日は10分でこの部分だけ」と細かく作業を分割することができます。
準備をする手間もないのでスキマ時間に好きな量だけといった進め方が可能です。
途中でテープが足りないことに気づいて追加発注が必要な時でも、配達をゆっくり待つことができます。
何度もやり直しがきく
マスキングテープは何度も貼ったり剥がしたりができるので、失敗を恐れず何度でもトライすることができます。中に空気が入り込んでもシワができても何度も修正が可能です。
プロ級の仕上がり
ペンキは塗りムラができたり近くで見るとハケで塗った感が出るのに対して、マスキングテープはムラが無く均一な仕上がりになります。
素人DIYでもプロ級の仕上がりでまるで既製品かのように本当に綺麗にできます。
マスキングテープのデメリット
マスキングテープ最強?!と思いきや、まあまあデメリットもあります。
貼るのに神経を使い疲れる
マスキングテープを綺麗に貼るには常に細心の注意が必要で結構疲れます。繊細な作業が必要で、ある程度の器用さが求められるのがデメリットです。
貼り直しが何度もきくので満足の仕上がりになるまで繰り返し修正してしまうのも疲れる一因かもしれません。
水や湿気に弱い
マスキングテープの素材は紙なので、水に濡れたり湿度が高い環境では破れる可能性があって心配です。
特にキッチン・トイレ・洗面所などの水回りや雨が当たる窓際などは、一度貼り終えた後でも定期的に見直しをして場合によっては貼り替える必要が出るかもしれません。
汚れに弱い
なにせ素材が紙なので汚れには弱いです。
ジュースをこぼした時には紙に染み込んで取れない汚れになります。でも汚れた箇所が一部分ならそこだけ切り取って新しいのと入れ替えることで部分的に修復することもできますよ。
【水や汚れに強い白マスキングテープ】
紙製ではなくPVC素材(ポリ塩化ビニル)を使ったマスキングテープも売っています。水回りや汚れが気になる方は要チェックです。
賃貸ではメンテナンスが必要
マスキングテープは室内の環境によっては劣化してボロボロになることもあります。
高温多湿で紫外線が当たる場合ボロボロ崩れたり、剥がした時に粘着が固まっていて綺麗に取れないということにもなりかねません。
そのため賃貸物件では定期的なメンテナンスが必要になるかもしれないのは覚えておきたいところ。劣悪な環境の場合は1年ごとの貼り替えがいるかもしれません。
でもですね、紫外線が当たる場所は窓際で範囲が限られていますし、高温多湿も人が住んでいる部屋ならそうそうないわけで、そうなると劣化はかなり少なくて済みます。
マスキングテープは適度な室温(15℃~25℃)・湿度(40%~60%)の場合で3~5年持つので、それくらいを目安に確認とメンテナンスを入れるようにしましょう。
戸建てなどの購入物件の場合は原状回復は要らないわけなのでこのデメリットはありません。もう剥がす必要はないわけですし、汚れて交換したいという場合は上から重ね張りするという方法もあります。
「粘着力が下がって剥がれるのでは?」と心配かもしれませんね。
でも私の家の初期に貼ったマスキングテープはもう3年経ってますが、とりあえず今のところは綺麗なままの状態をキープしています。端の方から反って剥がれるとかヒビ割れるとかも全くありあません。
オススメは断然マスキングテープ方式
わが家ではペンキ方式ではなく白いマスキングテープを巾木・廻縁に貼る方法を選択しました。
ペンキは準備から片づけまでとにかく大変ですし、家族が一緒に生活している中での作業は迷惑がかかると思ったからです。
オススメの2種類のテープ

私が使用した商品はこちらです。
「カモ井加工紙 マスキングテープ mt マットホワイト」
「カモ井加工紙 マスキングテープ mt CASA LINING 下貼り用」
Amazonや楽天のレビューを見ても多くの評価があってたくさんの人が使っていることが分かります。どちらも白いマスキングテープで質感もよく、何度でも貼り直し可能で扱いやすいのが特徴です。
テープは二重貼り?一枚貼り?
マスキングテープで巾木を白くしたい場合、下地の色が透けないようにしたいですよね。
透けて薄茶色だとあんまり変わった感じがしなくて中途半端ですし、「なんかテープが貼ってある感じ」が漂うので薄く透けるのは避けたいところです。
そんな時には二重貼りという方法もあります。こちらがマスキングテープを一枚貼りと二重貼りにしたところの比較写真です。

ほんの少しですが違うのが分かるかと思います。1枚よりも2枚重ねたほうが綺麗に仕上がります。
そして下貼り用であれば一枚貼りでも透け感が少なくて、マットホワイトの二重貼りと同等レベルになります。
性能比較表
マットホワイト | LINING(下貼り用) |
---|---|
5cm幅:約500円~ 10cm幅:約1000円~ | 5cm幅:約600円~ 10cm幅:約1300円~ |
素材:和紙 | 素材:紙 |
長さ7m | 長さ20m |
二重貼りが必要 | 一枚貼りでもOK |
サラサラの肌触り | 若干ツルツル |
下貼り用はその名の通り、下地に模様があっても透けないようにするためのもので素材が紙という違いがあります。
また、長さに注目していただくと7mで500円と20mで600円というコスパの違いもあります。
価格重視であれば一枚貼りでもいけて1mあたりの単価も安い下貼り用がオススメです。
質感の違い

質感ではマットホワイトの方がサラサラして触り心地がいいですが基本触るものではありませんし、あまり重要項目ではないかもしれません。
ツルツルだと若干光を反射しやすいという違いがありますが室内の電気くらいの光の強さだとあまり変わりません。素材が紙なのでツルツルといってもビニールほどではなく、例えるならテッシュペーパーのサラサラ感とコピー用紙のツルツル感みたいなかんじです。
出来栄えについてはどちらも同じように仕上げることができます。質感の違いでどちらかが扱いづらくて貼りにくいなんてことはありません。
マスキングテープを貼る時の注意点
何度も貼る中で分かった、テープを貼る時のちょっとしたコツや注意点をお知らせします。
最初は練習が必要
一番最初にテープを貼る場所は短いところで練習してください。誰もが最初は下手っぴです。
何回も貼っていくうちに段々上手くなってきてプロ級になれるのですけど、一番最初は失敗するものなので短い巾木・廻縁で練習してから長いところに挑戦してください。
長く貼ってテープをたくさん使ったあとで「やっぱりココ雑だしやり直したい」となってしまったら先に貼ったテープがもったいないですからね。
少し余分にあまらせてカットする

マスキングテープの加工の際には余分に貼って余分にカットすることをオススメします。ジャストサイズに貼ったりジャストサイズに切ったりすると端部分に1mmに満たないほどのわずかな隙間ができて、それが見栄えを悪くしてしまいます。
白い壁・白い巾木・白い廻縁なのに元の茶色が見えたらすごくカッコ悪いです。なので壁紙と少しだけ被るようにして余分にカットするように心がけてください。たったそれだけの注意で見栄えがかなり違ってきます。
道具は揃えたほうがいい
「大掛かりな作業じゃないしマスキングテープを貼るだけでしょ?」と思うかもしれませんが、道具はきちんと揃えたほうがいいです。
- カッターナイフ
- カッターの替刃
- 地ベラ
カッターナイフは、切れ味が悪いとガタガタになってしまうため、替刃も含めて用意しておくことが大切です。
地ベラについては、ステンレス製の定規でも代用できますが、薄くて片手でも持ちやすいものが最適です。プラスチックの物差しはたわみやすく、長い範囲をカットする際に真っ直ぐ切れないうえ、カッターで削れてしまうためおすすめできません。L字型のステンレス定規も代用可能ですが、厚みがあり角が直角なので、細かい端の処理には向きません。
地ベラは角が鋭角で薄く作られているため、カット作業や端部分の押さえに最適です。薄くて丈夫なおかげで細かな作業がしやすいので仕上がりもきれいになります。取っ手があるため片手で持ちやすく、ズレにくいのも便利な点です。
まだ持っていない方は、この機会に購入を検討してみてはいかがでしょうか。巾木のDIYを考えている方であれば、あなたはかなりのDIY好きの可能性があります。巾木だけでなく、壁紙の貼り替えやリメイクシート、窓ガラスへの遮熱シートなど、さまざまな場面で活躍するので無駄にはならないと思います。
地ベラ購入時に注意してほしい点は2つです。
- サイズ:小さいものよりも大きい地ベラの方が、一度に切れる範囲が広く、仕上がりがきれいになります。
- 角の形状:角が鋭角のものと丸角のものが両方あると便利です。マスキングテープを端まで押さえるとき、鋭角は破れやすいため、丸角があると便利です。また、巾木の下にテープを押し込む作業も丸角があると指や爪では難しい作業がスムーズにできます。
最後に、天井付近の廻縁を色替えする場合は大きな脚立が必要です。小さな踏み台では作業範囲が狭く、登り降りが多くなって大変ですが、大きな脚立であれば安定性が高く、作業範囲が広がるため時間短縮にもつながります。
さいごに

最初は巾木や廻縁が茶色でも全然気にしてなかったのに、「そんな方法があるんだ」と気づいてからは茶色が気になって気になって仕方なくなるものです。
まずはお試しでマスキングテープを1つ買ってみて、1箇所変更するだけでもやってみてはいかがでしょうか。1個だけなら安いですし、「なんか違う」と思ったら剥がせばいいのでほぼリスクなしです。