以前私が調査してまとめた「ごみの戸別収集リスト」をもとに、可燃ごみの戸別収集を実施している自治体が多い都道府県ランキングを発表していきます!
まだご覧になっていない方はこちらの記事も参考に見てみてください♪
順位付けのルール
ランキングは次のルールでポイント化して算出します。
- 戸別収集を基本とする自治体 …… 1P
- 戸別収集とステーションの併用 …… 0.5P
- ステーション収集のみの自治体 …… 0P
各都道府県ごとに、
「ポイント合計 ÷ 総自治体数」
で割合(パーセンテージ)を出し、その数値をもとに順位付けしていきます。
また、このパーセンテージを見ることで、その都道府県のどの程度の範囲が戸別収集に対応しているのかを大まかに把握できます。
たとえば割合が10%の場合、都道府県内の約10%の自治体で戸別収集が行われていると考えることができます。もちろん、実際の面積や人口分布とは一致しないため厳密な指標ではありませんが、全体の傾向をつかむための参考値 として役立つはずです。
47位~35位 ステーション収集のみ
以下の都道府県は全域でステーション収集を行う地域です。戸別割合は0%です。
- 宮城県
- 秋田県
- 山形県
- 福島県
- 埼玉県
- 栃木県
- 群馬県
- 長野県
- 富山県
- 福井県
- 滋賀県
- 岡山県
- 広島県
34位~30位 併用が1つだけの地域
エリアのほぼ全域がステーション収集で、一部地域で例外的に戸別収集を行っている地域です。
- 茨城県・・・1.1%
- 岐阜県・・・1.2%
- 静岡県・・・1.4%
- 岩手県・・・1.5%
- 新潟県・・・1.7%
例外的に続けているだけなので、今後は戸別収集を縮小してステーション方式に統一していくという方針を出している自治体もあります。
29位~22位 併用が2つほどの地域
一部の自治体の一部の地域で、限定的に戸別収集が行われる都道府県です。
- 鹿児島県・・・2.3%
- 香川県・・・2.9%
- 三重県・・・3.4%
- 高知県・・・4.4%
- 熊本県・・・4.4%
- 山口県・・・4.8%
- 長崎県・・・4.8%
- 佐賀県・・・5.0%
高知県と熊本県では戸別収集がメインの自治体もあります。
21位~17位 戸別割合10%未満の地域
一部の自治体で戸別収集が行われていたりする地域です。
- 千葉県・・・5.6%
- 宮崎県・・・5.8%
- 兵庫県・・・7.3%
- 山梨県・・・7.4%
- 鳥取県・・・7.9%
ディズニーランドのある千葉県浦安市は戸別収集を行っています。
16位~12位 戸別割合が10%台の地域
- 石川県・・10.5%
- 愛媛県・・・12.5%
- 青森県・・・12.5%
- 愛知県・・・13.0%
- 大分県・・・16.7%
愛知県は 「路線収集」 という収集方法が県内の各自治体で広まっています。
路線収集とは、収集車があらかじめ決められたルート(路線)を回ってゴミを収集する方式です。
路線上にある家:戸別に収集される
路線から離れた家:住民が路線上までゴミを運んで置けば収集される
つまり、戸別方式とステーション方式の間をとった収集方法と言えます。
11位~7位 戸別割合が20%台の地域
- 島根県・・・21.1%
- 京都府・・・21.2%
- 奈良県・・・21.8%
- 神奈川県・・・22.7%
- 北海道・・・28.8%
北海道は戸別収集を行う自治体が27、併用の自治体が49とかなり数が多い地域です。
それにはこんな特殊な事情がからんでいるからと推測できます。
- 雪が多いためゴミステーションの雪かきも必要になる
- 家と家の間隔が広すぎてステーション収集できない
- 各家の庭が広いためゴミ箱などを置きやすい
- 道路が広いため収集車の停車が交通の妨げにならない
北海道では隣家との距離が数百メートル以上離れている地域が一部存在するため、住民がゴミを持って歩いて出しに行くのが大変です。そのため10世帯などのまとまった単位で一か所にまとめるのは難しく、ステーションの管理者の負担も大きくなります。こうした事情から部分的に戸別収集を行う地域がいくつかあります。
一方で北海道はステーション収集を行う自治体の数も多く、ステーション地域が103か所と多いため、戸別が全体を占める割合は28.8%に収まって7位という結果に。
ランキング 第6~5位 (30%台)
第6位 和歌山県・・・31.7%
| 県内の自治体総数 | 30 |
| 戸別収集方式 | 4 |
| 併用 | 11 |
| ステーション方式 | 15 |
第5位 徳島県・・・39.6%
| 県内の自治体総数 | 24 |
| 戸別収集方式 | 3 |
| 併用 | 13 |
| ステーション方式 | 8 |
和歌山県と徳島県は戸別とステーションの併用地域が多く5位と6位にランクイン。
徳島・和歌山だけでなく隣の奈良県や京都も9位10位にランクインしていて、関西・近畿近辺は戸別収集が比較的多めのように見受けられます。
ランキング 接戦の第4~2位 (50%台)
ランキング上位の第4~2位を飾った地域はこちら!
第4位 福岡県・・・50.8%
| 県内の自治体総数 | 60 |
| 戸別収集方式 | 25 |
| 併用 | 11 |
| ステーション方式 | 24 |
第3位 大阪府・・・53.5%
| 府内の自治体総数 | 43 |
| 戸別収集方式 | 18 |
| 併用 | 10 |
| ステーション方式 | 15 |
第2位 東京都・・・54.8%
| 都内の自治体総数 | 63 |
| 戸別収集方式 | 28 |
| 併用 | 13 |
| ステーション方式 | 22 |
4位~2位はいずれも大きな都市で、比較的財政が安定している地域がランキング上位となりました。
戸別収集の最大のデメリットは人件費の高さです。各家庭ごとに収集するので作業員の労働時間が長くなり、そのぶんコストが増えてしまいます。
そのデメリットを補えるだけの税収入がある都市がランキング上位となったと考えられます。
また、都市部ではマンションなど集合住宅の割合が高く、戸建て住宅がまばらに点在している地域もあります。そんな場所では、複数の戸建てがまとめてゴミを出すステーション方式は効率が落ちやすく、ステーションの管理や清掃の負担が特定の住民に偏ってしまうことも考えられます。
こうした背景から、都市部ではステーション方式よりも戸別収集が選ばれやすい傾向があります。
ですがそんな中、東京都では少し違った事情でステーション方式が選ばれている部分もあるようです。
東京都を23区とそれ以外の地域で分けた時に、以下のような傾向が見られます。
- 23区・・・ステーション多め
- 23区以外・・・戸別収集多め
東京23区は古くからの町並みで通路が狭い住宅密集地が多く、車がすれ違えない・大型の収集車が入り込めないという事情があるため、ステーション方式がメインとなっています。
一方で23区以外の地域は、近年の都市化・住宅開発で拡大した地域が多く、住宅地や道路が新しく計画・整備されたため、道幅や区画が比較的ゆったりしています。そのため戸別収集を実施しやすい環境が整っています。
圧倒的! ダントツの第1位 (??%台)
第1位は東京でも大阪でもないこちらの地域でした!
沖縄県・・・89.0%
なんと、県のほとんどが戸別収集であるという驚きの地域です!
| 県内の自治体総数 | 41 |
| 戸別収集方式 | 34 |
| 併用 | 5 |
| ステーション方式 | 2 |
沖縄県では、島が多く最終処分場の確保が難しいという根本的な課題があります。
埋め立て地の余裕が少ないため、「できるだけゴミを減らす仕組み」を早い段階から整える必要がありました。
さらに、1972年の沖縄本土復帰以降、人口が増加し続けたことでゴミの量も大幅に増加しました。
各自治体が新しい焼却炉を建設しても、増えるゴミの勢いに追いつかない状況が続きました。
このため、自治体はゴミの減量を最優先課題として、
- 戸別収集の導入
- ゴミ袋の有料化
- 資源回収の強化
といった取り組みを積極的に進めることとなりました。
ランキングを色分けマップで可視化!
今回出た戸別収集のランキングを、日本地図上で色分けして可視化してみました!

- 赤に近いほど戸別割合が高い地域(ランキング上位)
- 黄色に近いほど戸別割合が低い地域(ランキング下位)
- 灰色は戸別収集がない地域(戸別割合 0%)
地図を見ると、西日本側で戸別収集が多い傾向があることがひと目で分かります。
また、東京・大阪・福岡の都市を中心にして周りに伝播するように広がっている傾向も若干見て取れます。
高齢化率とは比例関係にない

戸別収集は家の前にゴミを出せばよいという利便性の高さから、高齢化社会との相性が良いゴミ収集方法として注目されています。そのため高齢化が進む地域での導入が望ましいという意見もあります。
しかしその一方で、収集にかかる人件費や運営コストが大きいため、財政上の制約から導入が難しく思うように進んでいないのが現状です。
今回のランキングを見ると、高齢化率が高い地域だからといって、必ずしも戸別収集が多く導入されているわけではないことが分かります。両者が完全に比例しているわけではありません。
高齢化率1位 秋田県 → 戸別割合 0%
高齢化率2位 高知県 → 戸別割合 4.4%
高齢化率3位 青森県 → 戸別割合 12.5%
高齢化率4位 徳島県 → 戸別割合 39.6%
高齢化率5位 山形県 → 戸別割合 0%
参考元: 内閣府「令和7年版高齢社会白書」
とはいえ、今はまだまだ変化の途中で、長年続いていたステーション方式が見直されて戸別収集が各地で少しずつ増えている段階です。
高齢化がこれからもさらに進めば、住民から「ステーションの清掃・当番の負担が体力的に厳しい」という声が上がるようになります。そうなった時には、戸別収集を先行導入している地域の成功例を参考に、採用がどんどん広まっていくかもしれません。
最後になりますが、まだご覧になっていない方はこちらの記事も参考に見てみてください♪
