ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のレシピは企業秘密になっていて、その秘密のレシピを知っている人は世界でたった3人とも言われています。今回は人工知能Chat GPTの手を借りてその禁断の領域に踏み込もうと思います。
チャットGPTが導き出したレシピがこちら
「さすがのチャットGPTでも分からないでしょ」と思いながら聞いてみたら、レシピの詳細をなんとズバッと教えてくれましたw
- 塩…小さじ1
- タイム(粉末)…小さじ1/2
- バジル(粉末)…小さじ1/2
- オレガノ(粉末)…小さじ1/2
- セロリソルト… 小さじ1
- ブラックペッパー(黒こしょう)…小さじ1
- ドライマスタード…小さじ1
- パプリカ…小さじ2
- ガーリックソルト…小さじ1
- ジンジャーパウダー…小さじ1
薄力粉120gに対してのスパイスの分量です。この粉の量で鶏肉は1.2~1.5kgほどまぶせるようです。秘密のレシピこんな簡単に手に入っていいのでしょうか??
公式に発表されている「11種類のハーブ&スパイス」という言葉があるのですが、チャットGPTのレシピもその数と合致します。バジルやオレガノは微塵切りの葉っぱのままでは風味が強すぎたり味にムラができるので粉末状のものが良いようです。ケンタッキーの実物を見ても衣部分に微塵切りの葉っぱはついていませんし、ここは妥協せず忠実にいきたいところです。
KFCの味に近づけるための秘密はまだまだこれだけではありません! 以下もご覧ください!!
鶏肉の部位の種類は5つ
ケンタッキーで使われる鶏肉の部位は5つです。これはKFC公式でも公開されていますね。
- リブ(あばら)
- ドラム(下もも)
- サイ(腰)
- キール(胸)
- ウイング(手羽)
ほとんどスーパーでは見かけない部位ばかりですね。スーパーの鶏肉は基本もも肉やむね肉で、骨付きだと手羽元と手羽先くらいしか見ないです。調べたところによると、通常のスーパーではなく市場や精肉店に行けば買えるかもしれないとのこと。・・・精肉店ならまだしも市場って結構ハードル高いですよね(汗) 確実なのは養鶏所に行って直接取引することだそうで。ははは・・・とりあえずここは手に入りやすい手羽元で我慢しましょ。(いいのか?・・・いいよねw)
「骨付き鶏もも肉」などでAmazon・楽天で検索をかけるとサイズは大きいですが骨付きのもも肉が手に入ります。クリスマスシーズンでよく見るやつです。
もも肉やむね肉でもOK?
骨なしで食べやすいもも肉・むね肉の方が子どもも食べやすいですし、味が同じだとしたらそっちのほうがいいですよね。でも骨付きと骨なしでは味が全然違うので骨付きにするのがオススメです。私はケンタッキーの味を再現したくて過去何度もレシピ再現にチャレンジしてきたのですが、骨ありの方が断然KFCに近かったです。もう全く違います。骨なしのもも肉むね肉だと淡白な味わいでスパイスの香りに頼っている味なのに対して、骨ありの手羽元だとスパイスと肉汁が混ざったKFC似のフライドチキンになります。※味覚には個人差はあります
骨付き肉を加熱調理すると、骨の中の骨髄や骨膜からの旨味成分が肉に染み出して、風味や味の深みが出ることになります。これは骨なしの時にはない現象です。また、骨周りの筋肉には脂肪が豊富についているため、この脂肪が食べた時に濃厚なコクを与えてしっとり感を生みます。さらに骨があると加熱中に肉の水分が飛んでパサついてしまうのを防いでくれてジューシーさを維持したまま揚げることができます。
骨付き肉は食べる時には不便ですし食べられる量が少なくて不満かもしれませんけど、食べた時の食感や味にはっきりとした違いが出てくるので、KFC似のフライドチキンを目指すならぜひ骨付き肉でチャレンジしてみてください!
鶏肉の下処理
ケンタッキーの公式情報によると、お肉の下処理はまず①余分な脂を取り除くこと、そして②皮を伸ばして骨を整えるということが書いてあります。
下処理をすることで味の臭みがなくなり旨味がより感じられるようになるようです。
つなぎ液に漬け込む
鶏肉の下処理が済んだら、衣をつける前のつなぎ液に浸す工程に入ります。つなぎ液のレシピはKFC公式では公開されていませんが、これまたチャットGPTがズバッと答えてくれました。
- バターミルク・・・240ml
- 卵・・・1個
- 塩・・・小さじ1
- ブラックペッパー・・・小さじ1/2
- パプリカパウダー・・・小さじ1
チャットGPTおそるべし。
バターミルクとは?
バターミルクとはバターを作る時に余る液体のことで、液状のものは日本では法律の都合でスーパーなどでは市販されていません。でも粉状のものであればAmazon・楽天・Yahooショッピングで売っているので見てみてください。
バターミルクが手に入らない場合は代用液を使うことでも解決できるようです。
【バターミルクの代用液】
- 牛乳・・・240ml
- レモン汁または酢・・・小さじ1
かるく混ぜて10~15分放置することで少しとろみがついてバターミルク風になります。
つなぎ液に漬け込む時間は?
つなぎ液を作って何秒?何分?何時間漬け込むの?というところですが、KFCの公式情報では「秒数が細かく決められている」とだけ書いてあり、具体的にどのくらいの時間なのかは分からなくなっています。
「秒数」という単語を使っているので何時間も漬け込むという感じではなさそうなのと、「細かく決められている」という部分からは鶏肉の部位によって漬け込む秒数が違う可能性が伺えます。
バターミルクを使った液を使っている場合、バターミルクの持つ酸の効果でタンパク質が分解されて肉が柔らかくなってくれるので、サッとくぐらせるだけではなくある程度(とはいっても秒数は分かりませんが)漬け込むといいかと思います。
粉をつける
粉のつけ方はKFC公式で公開されていて細かく示されています。
- チキンを粉の上に乗せる
- チキンと粉をすくい上げながら満遍なくまぶす
- チキンの上から両手でプレスして粉を押し付ける
- チキン2つをぶつけ合わせて余分な粉を払い落とす
- 粉を付けた後は1分以内に揚げ工程に移る
粉をたくさんつけたいがために「つなぎ液と粉の二度漬け」をしたくなるところですが、公式ではそれは書いてありません。1回でしっかりと粉をくっつけるようです。
公式情報では粉をつけた後はすぐに揚げ工程に入るようですが、これはKFC専用の調理マシンを使うのでできる方法なのかもしれません。場合によっては粉をつけてから時間をおいたほうが衣が剥がれにくいこともあるのでそこは試行錯誤もアリだと思います。
圧力釜で揚げる
KFCでは圧力釜を使って最高温度185℃で約15分じっくり揚げます。油の入った鍋にチキンを入れた後、鍋の蓋をして圧力をかけながら油で煮込んでいきます。
勘違いされやすいポイントとしては、圧力鍋で柔らかくなるまで煮てから衣をつけて揚げるのではないということです。生の鶏肉に衣をつけてそのまま圧力釜で揚げます。
通常の揚げ方との違いは何?
通常、唐揚げを揚げる時は鍋には蓋を閉めませんし圧力もかけませんよね。圧力釜を使うことで通常の揚げ方との違いがこのように出てきます。
圧力釜 | 普通の揚げ方 |
---|---|
肉内部の水分が保持される | 内部の水分が飛びやすい |
トロッとした食感になる | 噛み応えのある食感になる |
中まで火が通りやすい | 二度揚げが効果的 |
衣が柔らかくなる | 衣がカリカリに仕上がる |
ケンタッキーはどうしてこんなに衣が柔らかいのかと不思議だったのですけど、圧力釜を使って揚げているからなんですね。どうりで家で普通に揚げても柔らかくならないわけですよ・・・。
圧力鍋に油を入れて揚げてもいい?
ここで気になるのは手持ちの圧力鍋に油を入れて揚げてもいいのかってことですよね。壊れたり爆発したりしないかが心配なところ。結論を言うと、絶対やっちゃダメです^^;
圧力鍋は水を入れて調理することが目的のものであって油を入れる設計になっていないことがほとんどです。油を入れて加圧し続けると最悪の場合鍋が爆発するとともに高温の油がキッチン中に飛び散って火災になるかもしれません。(あくまで可能性の話ですが)
業務用の大型の機械があって初めてできる方法だと理解して、家庭での揚げ方再現は不可能と考えるのがいいと思います。
圧力釜なしでもKFCに近づける方法は?
家庭で再現が難しい中でもKFCの味に近づけたいという場合は、蓋を閉めながら低温で揚げる方法がいいようです。
- 150~160℃で6~8分蓋をせず揚げる
- 途中で裏返して均一に加熱する
- 一度油から上げて5分休ませる
- 再び油に入れて蓋をして揚げる
- 温度は130~140℃で5~7分
- 油から上げて5分休ませる
- 再び油に入れて蓋をせず揚げる
- 温度は180℃で1~2分
- 裏返して均一に加熱する
- 油から上げて3分休ませる
まずは蓋なしで普通に揚げ始めることで衣を固めると同時に肉表面の加熱をしていきます。チキンを入れるタイミングはしっかり油の温度が上がってからです。温度が低いと衣が剥がれる原因になります。1回目の揚げでは肉の中心部分に熱が通っていない状態でも大丈夫です。途中で油から上げてバットやお皿に移して予熱を利用して中心温度をゆっくり上げていきます。鍋に入れたまま加熱し続けると肉の水分が飛んでいってパサパサのカチコチ肉になってしまうので、途中で油から引き上げるという工程が必要になります。
次に低温で蓋を閉めながらの揚げに入ります。ここでは衣が剥がれることが心配されるので途中であまり触らないようにします。衣がふにゃふにゃになるので触りすぎるとポロポロ剥がれます。揚がったら再び油から引き上げて5分休ませることで予熱で中まで熱を通します。
最後は表面の衣を定着させるために高温で少しだけ揚げます。最後に高温で揚げることで冷めた時にベタベタとした食感になるのを防げるようにもなります。できあがった後もすぐに食べるのではなく3分休ませることで衣の定着が進みます。また休ませることによって表面の余計な油を落としたり、肉の内部では肉汁が広がってジューシーでしっとりとした食感になってより美味しく仕上がってくれます。
揚げる時の油はパーム油
KFCの公式情報によると、揚げる時の油はパーム油だそうです。
【パーム油とは?】
パーム油はヤシ科の植物であるアブラヤシから得られる油です。揚げ物に使用すると油の吸収が少なくて済んだり油自体が無味無臭に近いため素材の味を楽しめるといったメリットがあります。
パーム油は近所で買いたい場合は主に業務スーパーに行くと置いてありますし、ネットではAmazonや楽天などでも販売しています。
より本物のKFCに近づけるためにはパーム油を使うのがベストですが、「家で手軽に」がコンセプトであれば家にあるサラダ油でも良いかもしれません。
パーム油 | サラダ油 | キャノーラ油 |
---|---|---|
原料:アブラヤシ | 原料:大豆・トウモロコシなど | 原料:菜種 |
無味無臭 | ほぼ無味 | 軽い風味 |
煙点:230℃ | 煙点:200~230℃ | 煙点:200~230℃ |
価格:やや安め | 価格:中間 | 価格:やや高め |
気になるほどの大きな差はないように感じます。煙点が高い方が油の劣化が遅くなるので繰り返し揚げる時に適しているのですが、ここも気にするような違いではありませんね。
できてから1時間半以内に食べる
ここまでくるとお節介の域に入るのですが、完成したフライドチキンは1時間半位内を目安に食べるようにしましょう。本家のKFCでは完成後1時間25分(国や店舗によって違うらしい)を超えたフライドチキンは廃棄するようにルールが定められています。また、保存方法も80~90℃の保温ケースで保管することで湿度と温度を一定に保っていつでも美味しい状態でお客を迎えられるように準備しています。おいしいチキンを届けたいという思いが感じられます。
さらに食べる時には電子レンジやオーブンを使っての再加熱は基本NGです。本家KFCでもお客への提供前に再加熱することはありません。揚げる工程でベストな状態になったのに、それを更に再加熱してしまうとせっかくのジューシーさがなくなってパサパサやカチコチになるのがもったいないからです。
というわけでKFCの美味しさへの追求を見習うのであれば、口にいれるまでの途中の全てに気をつける必要があります。でもまあアツアツが好みだからオーブンで再加熱するというのはもちろん自由です。熱さも美味しさのひとつという考え方もありますので。
再加熱の方法についてはKFCの公式サイトでよくある質問集の中にやり方が書いてあります。
【電子レンジの場合 】
ラップはせずにチキン1個につき500Wで30秒~1分加熱
【オーブントースターの場合】
アルミホイルに包み180~200℃で5~8分加熱
ただしこれはお好みでというスタンスであって、再加熱を公式に推奨するというものではありませんのでご注意を。
フライドチキンの再加熱によって起こるデメリットを少しだけご紹介します。
- 肉の水分が抜けやすくパサつく
- 特に電子レンジは水分が飛びやすく硬くなりやすい
- 温め直すことで衣の油分が溶けて塩味が強く感じやすくなる
- 水分が抜けることでスパイスの風味がやや弱くなる
やはりベストなのは出来立ての状態で食べることですね。
さいごに
「いや、こんなに大変ならもう高くてもケンタッキーのお店で買いますよ」って人が大半なのではないでしょうか。逆にこれだけのこだわりで高い品質を維持しているのにあの価格っていうのは、もしかしたらメチャメチャ安くてお得なのかもしれません。
でも秘密にされていたら解き明かしたいと思うのが人間の性ですよね。秘密のレシピが本当に合っているか確かめたいと思う人はKFC再現にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。